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クロミッド

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不妊の薬クロミッドの概要

クロミッド(クエン酸クロミフェン、クロミフェンクエン酸塩)は排卵誘発薬として広く使用されています。不妊治療でもっとも良く使われる薬と言っても良いでしょう。クロミッドの使用によって、排卵率が有意に上昇することが知られていますが、一方で、妊娠率に変化は見られないとも言われています。目に見える副作用が起きることの少ない、安全性の高い薬ではありますが、しっかりとその特徴を押さえて服用した方が良いでしょう。

不妊の薬クロミッドの医薬品としての規定

メーカー;塩野義製薬

薬価:1錠あたり119.5円(2008年度)

ジェネリック医薬品:オリフェン・クエン酸クロミフェン「F」、スパクロミン、セロフェン

容量;1日1錠5日間服用、1日2錠まで可

適用;排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発

禁忌;卵巣腫瘍、卵巣腫大、肝障害・肝疾患、妊婦

副作用;卵巣過剰刺激、過敏症、肝障害(5%以上)、霧視、食欲不振、頭痛、口渇(0.1から5%)など

不妊の薬クロミッドの作用機序

クロミッドは間脳にて内因性エストロゲンと競合的に受容体と結合し,GnRHを分泌させます。その結果,下垂体からFSHとLHが分泌されて、卵巣を刺激して排卵が誘発されるとされます。

これだと分かりにくいので、もう少し分かりやすく説明します。

正常状態では以下の順序をたどり排卵します。

1)まずGn-RHが間脳から出ます。

2)その作用によって、LHやFSHが分泌されます。

3)FSHにより、卵巣が刺激されて卵胞が育ち、卵胞からエストロゲンが分泌されます。

4)一定以上にエストロゲンが分泌されると間脳に働き、LHを大量に分泌しろという指令を出します。

5)LHサージと呼ばれる、LHの急激な上昇が起きて、排卵します。

6)その際にエストロゲンはこれ以上Gn-RHを分泌しなくても良いという指令も同時に出します。

しかし、この1)の機能が弱い場合には排卵が上手く起こらない場合があります。 その際にクロミッドは6)の機能を阻害します。 そうすると間脳はまだGn-RHをもっと出さなければと頑張り、結果としてFSHが多く出ることになるのです。 要するに、クロミッドはエストロゲンと似た物質であり、間脳をだましてGn-RHの分泌を促すのです。

不妊の薬クロミッドの特筆すべき点

1)無排卵患者以外は投与すべきでない
薬の添付文書には明確に「無排卵症以外の不妊症患者」には「投与しないこと」と記載されています。しかし、現実には排卵をしていることが確認できている患者にも安易に投与されています。

2)多胎妊娠の可能性
卵巣過剰刺激に依り、双子や三つ子となる可能性があります。自然妊娠の5,6倍と言う報告あり。

3)長期投与により、卵巣腫瘍の発症の危険性を増大させるという調査結果が外国で報告されています。

4)抗エストロゲン作用を持つ
もっとも重要な点です。エストロゲンは頸管粘液分泌、子宮内膜の増殖に関与します。そのホルモンと拮抗する作用を持つクロミッドに依り、頸管粘液の減少や月経量の減少が認められることがあります。そしてこれらは妊娠成立のために非常に重要な因子であるため、クロミッドの服用によっても妊娠率が上がらないという結果を生むことになります。 なお一般的な連続投与の目安は半年とされます。また子宮内膜の状態をエコーで確認し、厚さ等に問題がないとして使用を継続するケースがありますが、月経量が減るなどの自覚症状が認められる場合には対処を検討した方が良いでしょう。

5)月経開始日から数えて、5日目から10日目まで服用すると、15日目から20日目の間に排卵することが一般的
この際、一般的には卵胞が20mm前後になった時に排卵されるのに対し、クロミッド服用時には26から31mmとやや大きい状態で排卵することが多いとされます。

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